プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 滞りなく披露宴が終了し、しばらくの時間が経って日が暮れ始めた頃、披露宴会場からは少し離れたレストランで結婚式の二次会が始まった。

 二次会会場は、披露宴のときと比べて、随分と騒がしい。

 参加者は新郎新婦と同年代の人たちばかりで、おそらくは皆、新郎もしくは新婦と友人関係の者だろう。堅苦しい空気はまったくなくて、皆とても楽しそうだ。

 今はビンゴゲームで盛り上がっていて、莉都花の手にもビンゴカードが握られている。

「えー、次の番号はー、26! 26です! さあ、揃った人はいませんか?」

 司会が番号を読み上げると、参加者は皆カードを端から端まで見つめて、その番号を探している。

 遠くの席から「リーチ!」なんて声も聞こえてくるが、莉都花のカードは未だに中央を除いて一つも穴があいていない。

 すでにビンゴを達成している人もいる中、莉都花のカードだけまっさらな状態なのは、莉都花の運がとてつもなく悪い――というわけではなくて、自分の意志でまったくあけていないからだ。ビンゴを揃えて目立つなんてことはしたくなかった。

 莉都花は、事前に二次会にも参加する旨を伝えていたから、今この場にいるが、やはり笑って過ごせる心境ではないし、できれば莉都花には構わずそっとしておいてもらいたい。

 場の空気を悪くすることなんて望んでいないから、ただとにかく静かに何事もなく過ごせればいい。

 莉都花はそう思って、端の席に座り、誰にも気に留められないよう、己の気配を断っている。
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