プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 これでもう全部わかっただろうと、莉都花は柊仁を真っ直ぐに見つめる。

 と、そのとき、少し強い風が吹いた。その風で莉都花の髪がたなびく。

 軽く乱れたその髪を柊仁が優しくすくって耳にかけた。

 決別すると言ったそばから、少し跳ねる鼓動に、莉都花はないないと小さく首を振る。

 柊仁はやはり優しく切ない表情で円香を見ている。

「その気持ちはわからなくないけど、俺はもう見つけたんだよな」
「え?」
「りっかちゃんさ、俺と賭けをしない?」

 脈絡のない問いかけに莉都花は首を傾げる。

「賭け? 何の?」
「うーん、恋の?」
「は?」

 あまりに理解のできない返しに、莉都花は訝し気な目を向ける。

「りっかちゃんはさ、また恋をしても同じ終わりを迎えると思ってるんだろ?」
「……そうですけど」
「じゃあ、りっかちゃんはそれに賭けなよ。俺は心変わりしない想いがあることに賭けるから」
「え? いや、賭けってどうやって」

 柊仁の言うその賭けはどう考えても成立しないだろう。心変わりしない想いが存在したとしても、それが莉都花にとってもそうであるとはいえない。賭けが対称になっていないのにできるわけがないだろうと呆れた視線を送れば、柊仁はとんでもない方法を提案してきた。
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