プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「どうせ寂しい未来しか待ってないなら、俺と楽しく遊んだっていいんじゃない?」

 チクリと胸が痛む。『寂しい未来』という言葉が莉都花の胸に突き刺さっている。

 柊仁の言う通り、莉都花にはそういう未来しか待っていないと思っているが、わざわざそれを口にしなくてもいいだろう。

 なぜいじわるなことを言うのだと柊仁を軽く睨みつければ、柊仁はとてつもなく優しい目を返してきた。

「俺のこと利用してみたらいいじゃん。俺で寂しさ紛らせてみたら?」

 莉都花は目を見開く。

 この人は何を言っているのだろうか。寂しさを紛らわせる道具にされて嬉しい人なんていないだろう。莉都花にそこまでする意味がわからない。

 困惑する莉都花に柊仁は言葉を続ける。

「りっかちゃんの寂しそうな表情が頭から抜けないんだよ。俺にそれを消す手伝いさせてよ」

 なんとなくそれが柊仁の本音のような気がした。これまでのやりとりで、この人が意外にお節介な人だということはもうわかっている。

 もしかしたら莉都花と同じなのかもしれない。相手の心情を察して、相手のために動かずにはいられなくなる。人の悲しみに深く共感してつらくなる。

 もしもそうなら、少しだけ理解できるかもしれない。
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