プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 その提案に乗るのはやはりあり得ないとは思いつつも、莉都花の口からは同意に向けた言葉がこぼれた。

「……本当に何もしない?」
「しない、しない。りっかちゃんがいいって言うまではね」
「……あなたが心変わりしたら、本当に何でも言うこと聞いてもらうからね」
「ははっ、もちろん。じゃあ、よろしく、でいい?」

 莉都花は小さく頷いた。

 柊仁はにっと笑うと、莉都花の頭に触れ、豪快に撫で始めた。

「ちょっ、何もしないって言ったくせに!」
「いや、このくらいはいいだろ」

 そう言ってまだ撫でようとする柊仁に、莉都花は早まったかもしれないと苦笑いを浮かべた。

 一応、恋人という関係になったのであればと、二人はその場で連絡先を交換し、莉都花のスマホには『蓮沼(はすぬま)柊仁』の情報が登録された。

 それを見た莉都花は、この人の名字すら知らなかったことにそこで気づき、とんでもないことに同意してしまったなと、複雑な笑いをこぼした。
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