プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 明日も仕事があるからとノンアルコールカクテルを哲也に頼んだ莉都花は、横から飛んでくる視線に眉をひそめる。

 柊仁は莉都花のそんな表情にもお構いなしで、にこにこと笑って莉都花を見ている。

「やっぱりいいな」
「いいって何が?」
「かわいい彼女に労ってもらうの。最高に癒される」

 トクンと小さく心臓が跳ねた。

 柊仁はこういう台詞をさらっと言うから、莉都花はいつも反応に困る。

 簡単に受けながせるほどの恋愛スキルは持っていないし、素直に受け入れられるようなかわいさも持ち合わせていない。

 柊仁との関係が本当の恋人関係であったなら、少しは違うのかもしれないが、賭けの恋人には平静を装ってあしらうのが精一杯だ。

「……はいはい」

 そんなつっけんどんな返しをしても、柊仁はにこにこと笑っている。

 莉都花がどんな反応をしたところで、この男は面白がるのだろう。このまま柊仁のペースに乗せられるのも嫌だから、莉都花は違う話題を振って、無理やり空気を変えさせた。
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