プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
　何も話さず、莉都花の腕を引いたまま歩く柊仁に、莉都花は黙ってついていく。

　怒ったように見える柊仁は少し怖くもあるが、莉都花のためにそうしてくれたのかなと思えば、少しこそばゆくも感じる。

　今はなんだか柊仁のそばに寄り添っていたいような気持ちになっていて、莉都花は柊仁の進むがままに任せて歩いた。


　そうして二人がたどり着いた先は、あの賭けをした公園だった。

　あの日のようにベンチに並んで腰かける。

　莉都花が座ると同時に腕を離した柊仁は、莉都花に対して頭を下げてきた。

「ごめん、不快な思いさせて」

　莉都花は少し驚きつつも、小さく首を横に振って答える。

「ううん、大丈夫」
「ごめんな。いつもなら哲さんと適当に追い返すんだけど、りっかちゃんにちょっかい出されたらって思うと、つい本気で怒ってた。ごめん」

　微かに鼓動が強くなる。まるで特別扱いしてくれているようなその言葉に、胸が疼くが、莉都花はそんなわけないと己に言い聞かせて、ただ曖昧な微笑みで返した。
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