プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「りっかちゃんが嫌ならやめとくけど、どうする?」

 ここで『いやだ』と言っても、きっと何も問題は起きないだろう。柊仁との曖昧な関係がただただ続いていくだけだと思う。

 でも、ここで『いいよ』と言ったならば、二人の関係は少し違うものへと変わっていくのではないかと莉都花は思った。

 そして、莉都花が選んだ答えは――

「……いいよ。大輝に言ってもいいよ」
「本当に?」
「いいよ。だって、心変わりしないんでしょ?」

 少しの皮肉を込めてそう言えば、柊仁は少し目を見開き、驚きの表情を見せてから、豪快に笑い始めた。

「はははっ。これだからりっかちゃんといるのやめられないんだよなー。もちろんだよ。俺は心変わりしないほうに賭けてるからね」
「じゃあ、いいよ」
「そっか。わかった。大輝に言っとくな」

 莉都花が「うん」と頷けば、柊仁は笑って「ありがとな」と言い、莉都花の頭に優しく触れてきた。

 また少し鼓動が強くなる。

 甘い空気に、少し照れくさくなってしまったのを、少し顔を俯けて誤魔化していれば、莉都花の目の前に、少し大きな手が差し出された。

「よし、もう少し見てまわろう」

 柊仁のその言葉に頷き、そっと自分の手を重ねてみれば、その手を強くぎゅっと握りしめられた。

 莉都花の心臓はトクトクといつもよりも速く脈打っていたが、莉都花はそれには知らないふりをして、再びひまわり畑に見入っていた。
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