プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
　今は何を言ってもダメだと悟った莉都花は、柊仁はそのままにして哲也と別の会話をする。

　一方の柊仁は、莉都花を眺めたまま静かに酒を飲んでいたが、そのうちそれにも飽きたのか、莉都花にちょっかいを出し始めた。

　顎下あたりまであるボブスタイルの莉都花の髪を耳にかけ、耳たぶをやわやわと触ってくる。微かに触れるくらいの力で緩く触っているものだから、莉都花はくすぐったくてしかたない。思わず笑いがこぼれた。

「ふっ、ちょっ、やめてよ。くすぐったいでしょ」

　口では抗議するものの、強く抵抗はしない。これも二人の変化のうちの一つだ。

　柊仁は無理に距離を詰めるようなことはしないものの、こうして軽く触れてくることが増えたのだ。そして、莉都花もそれを許している。

　じゃれ合うと表現すればしっくりくるだろうか。

　あまりいやらしさはなくて、純粋に莉都花との時間を楽しんでいるという感じだから、莉都花も受け入れている。

　しかし、くすぐったいのばかりは我慢できなくて、莉都花は小さく身をよじった。

　そこでようやく柊仁は耳から手を離す。
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