プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「そうだ。ねえ、柊仁。私、お盆は実家に帰るから、八月半ばは会えない」

 莉都花が今住んでいるのは関東だが、生まれ育った家は福岡にある。簡単に帰れる距離ではないから、いつも長期休暇のときに帰省しているのだ。

 莉都花の実家が福岡にあることは柊仁もすでに知っているから、柊仁は特に驚いた様子もなく納得している。

「あー、福岡に帰んの?」
「うん。十二日から十七日まで、向こうに帰ってる」

 それを聞いた柊仁は小さく「十二日から十七日か」と呟いている。そして、スマホを取り出し、何やらしばらく操作していたかと思えば、突然莉都花に質問を投げかけてきた。

「向こうにいる間、予定は詰まってんの?」
「え? いや、基本は実家でゴロゴロしてると思うけど」
「ふーん。それならさ、俺も行っていい?」

 どこに行くのだと莉都花は首を傾げる。

「へ? 行くって……?」
「福岡に」
「えっ、福岡に!?」

 あまりの驚きに、随分と大きな声が出てしまった。でも、それも無理ないだろう。

 そんな近くのスーパーにでも行くような感覚で、『俺も行く』と言えるような場所ではない。しかし、柊仁は本気で言っているらしい。
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