プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 店を出た莉都花はスマホを取り出し、柊仁が泊まるホテルまでの電車を調べる。

「ホテルまでは電車で一本で行けるけど、一応私もついてこうか?」

 スマホがあれば特に問題はないだろうが、地元民がいるのに、放っておくのも憚られてそんな提案をした。しかし、柊仁からは意外な答えが返ってくる。

「あー、電車じゃなくて車だから大丈夫」
「え? 車?」

 福岡に来るのは初めてのはずなのに、なんで車があるのかと首を傾げる。

 柊仁はその答えをサクッと教えてくれる。

「カーシェアの車使うから」
「あっ、そういうこと」
「りっかちゃん送ることもできるよ。荷物多くて大変だろ? 案内してくれたら、実家の近くまで送り届けるよ」

 まさかの提案に驚く。柊仁にそんなことはさせられないと、莉都花は手を振りながら断った。

「いやいや、移動で疲れてるでしょ。そんなことしなくていいよ」
「移動って、ほとんど座ってたんだから、たいして疲れてないって。俺とドライブデートしたくない?」

 その言い方はずるくないだろうか。とても断りがたい。

 賭けを始めたばかりの頃ならともかく、柊仁との関係が進展しつつある今、その提案はとても魅力のあるものにしか感じないのだから。

 莉都花は少しだけ躊躇いながらも、その提案に乗る答えを返す。

「じゃあ、お願いしてもいい?」
「ははっ、りっかちゃん、本当かわいすぎ。いいよ。りっかちゃんの実家までドライブな」

 そうして二人は、柊仁が事前に予約していた車へと乗り込んだ。
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