プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
高校の周りをぐるりと一周し、この辺にはほかに特に何もないと言えば、柊仁は一つ質問を投げかけてきた。
「りっかちゃんが高校生の頃、定番のデートスポットってあった?」
定番と言われて莉都花は頭を悩ませる。高校周辺にはそういう場所はなく、ほかの生徒がどうしていたのかを莉都花は知らない。莉都花自身の経験からいえば、校内で過ごすか、一緒に登下校をして過ごすのがほとんどだったから、柊仁が求めている回答にはならない。
当時のことを頑張って思い出し、どうにかこうにか一つだけそれらしき場所を思いついた。
「うーん、この辺りはそういうのないからなー。でも、自転車で行けるくらいの距離に、映画館とかカラオケとかの施設が集まったところがあるから、そこがそうだったかも」
「へえ、そっか。じゃあ、そこ行こうよ。俺と青春デートしよ」
青春デートとはいったい何なんだと尋ねてみたくもあったが、訊いてもむず痒いことを言われて終わりそうだから、莉都花はただ「いいよ」と言って頷いた。
莉都花もその場所には行ったことはあるとはいえ、随分と昔のことだから、正確な場所までは覚えていない。地図アプリを使って高校周辺を確認し、それっぽいところを探し出した。
もしかするとすでになくなっている可能性もあると思ったが、幸いそこはまだ現役で利用されている場所のようだ。
駐車場には結構な台数の車が止まっており、主に家族連れで賑わっている。
車から降りた莉都花と柊仁は、その場でどんな施設があるのかをざっと見回す。どれも福岡に来てまで行くようなところでもないが、莉都花が通っていた学校を見てまわるよりはずっと楽しいだろう。
映画はさすがに時間がかかるということで除外し、カラオケかボーリングにしようかと話し合っていたら、不意に背後から声をかけられた。
「莉都花?」
なぜこんなところで自分の名前が呼ばれたのだろうと不思議に思いながら振り返れば、そこには莉都花が最も会いたくなかった人物が立っていた。
「りっかちゃんが高校生の頃、定番のデートスポットってあった?」
定番と言われて莉都花は頭を悩ませる。高校周辺にはそういう場所はなく、ほかの生徒がどうしていたのかを莉都花は知らない。莉都花自身の経験からいえば、校内で過ごすか、一緒に登下校をして過ごすのがほとんどだったから、柊仁が求めている回答にはならない。
当時のことを頑張って思い出し、どうにかこうにか一つだけそれらしき場所を思いついた。
「うーん、この辺りはそういうのないからなー。でも、自転車で行けるくらいの距離に、映画館とかカラオケとかの施設が集まったところがあるから、そこがそうだったかも」
「へえ、そっか。じゃあ、そこ行こうよ。俺と青春デートしよ」
青春デートとはいったい何なんだと尋ねてみたくもあったが、訊いてもむず痒いことを言われて終わりそうだから、莉都花はただ「いいよ」と言って頷いた。
莉都花もその場所には行ったことはあるとはいえ、随分と昔のことだから、正確な場所までは覚えていない。地図アプリを使って高校周辺を確認し、それっぽいところを探し出した。
もしかするとすでになくなっている可能性もあると思ったが、幸いそこはまだ現役で利用されている場所のようだ。
駐車場には結構な台数の車が止まっており、主に家族連れで賑わっている。
車から降りた莉都花と柊仁は、その場でどんな施設があるのかをざっと見回す。どれも福岡に来てまで行くようなところでもないが、莉都花が通っていた学校を見てまわるよりはずっと楽しいだろう。
映画はさすがに時間がかかるということで除外し、カラオケかボーリングにしようかと話し合っていたら、不意に背後から声をかけられた。
「莉都花?」
なぜこんなところで自分の名前が呼ばれたのだろうと不思議に思いながら振り返れば、そこには莉都花が最も会いたくなかった人物が立っていた。