プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
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 和真との出会いは社会人二年目になった頃のこと。当時、同じ会社の営業職だった和真とは、同じ仕事に携わったことがきっかけで出会った。

 莉都花よりも四つ年上で、真面目で温厚な性格の和真は、優しいお兄さんという雰囲気があって、男性とは距離を置くようにしていた莉都花も、和真のことは自然と慕うようになった。

 もちろん初めは仕事上での付き合いしかなかったけれど、それだけでも十分に和真との距離は近づいていった。

 一緒に仕事をする中で、いろいろと意見を出し合い、互いの考え方を共有していくのが、莉都花はとても好きだったのだ。

 ほかのメンバーも交えてであれば、仕事以外で交流することも徐々に増え、いつの間にやらプライベートでの距離も縮まっていた。

 もしかしたら地元が同じだったことも二人の距離を縮めた要因かもしれない。

 莉都花が大学進学と同時に上京した一方、和真は高校生の頃に親の都合で関東に引っ越していた。

 莉都花も和真も福岡で生まれ育っているから、地元の話をすればいつも盛り上がった。きっと二人の距離が近づくのは必然だった。

 さすがに恋愛対象としては見ていなかったものの、包容力のある和真のそばはとても居心地がよくて、次第に彼の前では素を出すことが多くなった。ちょっと冗談を言ってみたり、何かお願いごとをしてみたり、弱音を吐いてみたりと、和真に対してはほかの人には見せない姿も見せるようになっていった。

 和真はそれをすべて受け止めてくれて、優しく寄り添ってくれたから、莉都花はどんどん彼に心を開いていったのだ。

 ついには、自ら過去の恋愛について語るくらい、和真を信頼するようになった。

 自分の苦しい胸の内を聞いてもらうのはとても心地よくて、莉都花は和真に普通の同僚や友人以上に甘えていた。
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