プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「和真さん、何か隠してるでしょ。いいよ、正直に言って」
「莉都花、違う！　莉都花のことを裏切ったりはしてない」

　必死にそう訴えかけてくる和真に、莉都花の胸は痛んだ。

「うん、わかってる。それはわかってるよ。でも、祥子ちゃんのことが気になってるでしょ？　見てたらわかるよ」
「いや……彼女のことは心配で気にかけているだけだから……」

　和真はきっと莉都花を思って本当のことは口にしない。だから、莉都花から全部を暴いた。

「ごめんね、もう気づいてるの。祥子ちゃんと連絡取り合ってるでしょ？　もう隠れてそんなことしなくていいよ。普通に祥子ちゃんを助けてあげてよ」
「莉都花……ごめん。祥子と連絡を取っていたことは認める。でも、本当に莉都花を裏切ることはしてない」
「知ってる。和真さんはそんなことする人じゃない。だから、苦しいの」

　莉都花のその悲痛な叫びに、和真もとても苦しそうな表情を浮かべている。

「和真さんにも、祥子ちゃんにも幸せになってほしい。だからね、私たち、別れよう？」
「別れようって……何言ってるんだよ」
「大丈夫。何も気にしなくていいから。私のことはもう考えなくていい。祥子ちゃんと幸せになってよ」

　半泣きでそう言えば、和真は息を飲んで、黙り込んでしまった。そして――

「莉都花……ごめん……とりあえず今日は帰るよ」

　それだけ言って、和真は莉都花の前を去っていった。

　和真の言葉には、後日話そうというニュアンスが含まれていたけれど、それ以上別れの話をするのは嫌で、莉都花は和真を徹底的に避け、彼の前から姿を消した。

　それから和真に会うことはなく、彼から連絡がくることも一度もなかった。
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