プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
***
和真との過去を話し終えた莉都花に、柊仁は優しく語りかける。
「りっかちゃん。今、りっかちゃんは一人じゃない」
「え?」
「俺がいる。本音で話せる最高の彼氏がいる」
こんなときにまで冗談を言う柊仁に呆れはするものの、そのおかげで少し心が落ち着く。そして、柊仁の今の言葉は偽りでもないのだと気づき、莉都花は反論はせずに己を振り返った。
和真とは違って、柊仁には甘えるというのとは違うが、確かに言いたいことを言えている。気づくと全部を話している。今だって和真との過去をすべて話してしまった。
そんな人が恋人として自分の近くにいるのは確かに最高なのかもしれない。
否定も肯定もせずに、柊仁を見つめれば、柊仁はニカっと笑った。
「苦しくなったら俺の胸に泣きつけばいい。だからさ、全部吐き出してきたら?」
「吐き出すって……?」
今さら何を吐き出すのだと首を傾げれば、柊仁は莉都花の心中を的確に言い当てる。
「りっかちゃんの正直な気持ちだよ。別れを選んだときの正直な気持ち。自分の気持ちは告げずに別れたんだろ? それでわだかまりが残ってる。違う?」
「それは……」
「全部自分で背負い込もうとして、そのせいでずっと引きずってたんだろ」
莉都花は何も言えずに黙り込む。莉都花が和真のことを引きずっていたのは確かだ。
大輝の結婚式で、頑張らないと笑顔を作れないくらいだったのだから。
柊仁と過ごすようになって、少しずつ前向きにはなってきたものの、和真の顔を見ただけで動揺するということは、まだ和真との過去に決着をつけられないでいる証拠だろう。
何も言えないでいる莉都花に、柊仁は諭すように語りかける。
「りっかちゃんのためにも、その元カレのためにも、そういうわだかまりは残すべきじゃない。それだと前に進むのが難しくなるから」
珍しく真面目な口調で話す柊仁に、莉都花は思わず耳を傾ける。莉都花のためを思って言ってくれているのだと、ひしひしと伝わってくる。
「言いたいこと全部言ってやればいい。相手の言い分も全部聞いてこい。それで、またここに帰ってきたらいい。俺はちゃんと待ってるから」
「柊仁……」
「今のりっかちゃんなら大丈夫」
今の莉都花なら、柊仁に本音を言えている莉都花なら、和真にも正直になれる。そう言ってくれているのだろう。
その言葉に強く励まされ、気づけば車のドアに手をかけていた。
「……柊仁、ごめん。行ってくる!」
柊仁は「行ってこい」としっかり莉都花の背中を押してくれた。
和真との過去を話し終えた莉都花に、柊仁は優しく語りかける。
「りっかちゃん。今、りっかちゃんは一人じゃない」
「え?」
「俺がいる。本音で話せる最高の彼氏がいる」
こんなときにまで冗談を言う柊仁に呆れはするものの、そのおかげで少し心が落ち着く。そして、柊仁の今の言葉は偽りでもないのだと気づき、莉都花は反論はせずに己を振り返った。
和真とは違って、柊仁には甘えるというのとは違うが、確かに言いたいことを言えている。気づくと全部を話している。今だって和真との過去をすべて話してしまった。
そんな人が恋人として自分の近くにいるのは確かに最高なのかもしれない。
否定も肯定もせずに、柊仁を見つめれば、柊仁はニカっと笑った。
「苦しくなったら俺の胸に泣きつけばいい。だからさ、全部吐き出してきたら?」
「吐き出すって……?」
今さら何を吐き出すのだと首を傾げれば、柊仁は莉都花の心中を的確に言い当てる。
「りっかちゃんの正直な気持ちだよ。別れを選んだときの正直な気持ち。自分の気持ちは告げずに別れたんだろ? それでわだかまりが残ってる。違う?」
「それは……」
「全部自分で背負い込もうとして、そのせいでずっと引きずってたんだろ」
莉都花は何も言えずに黙り込む。莉都花が和真のことを引きずっていたのは確かだ。
大輝の結婚式で、頑張らないと笑顔を作れないくらいだったのだから。
柊仁と過ごすようになって、少しずつ前向きにはなってきたものの、和真の顔を見ただけで動揺するということは、まだ和真との過去に決着をつけられないでいる証拠だろう。
何も言えないでいる莉都花に、柊仁は諭すように語りかける。
「りっかちゃんのためにも、その元カレのためにも、そういうわだかまりは残すべきじゃない。それだと前に進むのが難しくなるから」
珍しく真面目な口調で話す柊仁に、莉都花は思わず耳を傾ける。莉都花のためを思って言ってくれているのだと、ひしひしと伝わってくる。
「言いたいこと全部言ってやればいい。相手の言い分も全部聞いてこい。それで、またここに帰ってきたらいい。俺はちゃんと待ってるから」
「柊仁……」
「今のりっかちゃんなら大丈夫」
今の莉都花なら、柊仁に本音を言えている莉都花なら、和真にも正直になれる。そう言ってくれているのだろう。
その言葉に強く励まされ、気づけば車のドアに手をかけていた。
「……柊仁、ごめん。行ってくる!」
柊仁は「行ってこい」としっかり莉都花の背中を押してくれた。