プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 和真のところへ行けば、莉都花は彼らが乗っていた車に和真と二人きりになった。祥子は「二人で話して」と子供を連れてどこかへ行ってしまった。

 車内に重い沈黙が流れる。その沈黙を先に破ったのは和真だった。

「さっきは声かけてごめん」
「ううん」
「今日は祥子の両親の墓参りに来てたんだ。遅めの昼食を取ろうと思ってここに来たら、莉都花がいて、思わず声をかけてた」
「そっか」

 なるほどと納得する。言われてみれば、この辺りに霊園があった気がする。信じられないような偶然ではあるが、地元が同じことを考えれば、こういうことが起きても不思議ではないのかもしれない。

 和真たちの状況を理解したところで、自分のことも説明しなければと思うが、柊仁のことを何と言えばいいのか悩む。

 どう伝えようかと考えていれば、その間に和真のほうから本題へと突入してきた。
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