プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「莉都花。ごめん。あのときは本当にごめん。結局、莉都花を傷つけた」

 突然始まったあの日の話に驚きつつも、莉都花は慌てて首を振る。

「違う。違うよ。私が自分で逃げたから。あれは私が和真さんの手を取れなかったせいなの」
「いや、それをさせたのは僕だから。莉都花の不安をわかってたはずなのに、それを拭ってやれなかった。もっと早くに結婚に踏みきるべきだったんだ。強引にでもそうしておけばよかった。祥子とも連絡は取るべきじゃなかった」

 彼らしくないことを言う和真に、莉都花はもう一度強く首を振る。

「そんなこと言わないで。私はそういう優しい和真さんだから好きになったの。強引に進めたり、困っている人を見捨てたりするのは和真さんじゃない」
「それでも僕は過去の自分の行動が間違いだったと思ってる。莉都花との未来を守るには、もっと莉都花に寄り添わないとダメだった。中途半端なことをした僕のせいなんだよ」

 和真の台詞から彼の後悔が滲み出ていて、胸が締めつけられる。ちゃんと話をしなかったせいで、彼を苦しめていたのだと知り、莉都花にも後悔が募る。

 和真に苦しい思いなんてしてほしくなくて、莉都花は自分の胸の内を初めて彼にさらけ出す。
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