プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
「和真さん……和真さんも、祥子ちゃんと一緒になっててよかった」

　莉都花のその言葉に、和真は小さく首を振る。

「いや、祥子とは付き合ってないよ」
「えっ？　どうして……？」
「莉都花を傷つけておいて、そんなことできるわけない。確かに祥子への想いは少し蘇ったけど、だからといって、それで莉都花への想いが消えるわけじゃない。僕は変わらずに莉都花が好きだったから、祥子と付き合うことは考えなかったよ。ただ心配で見守ってるだけ」
「そんなっ……私、二人は上手くいったんだって思って……ごめんなさいっ」

　激しい自責の念に襲われる。

　和真の自分に対する想いの強さに、莉都花は気づけなかった。ほかに気になる人ができたのなら、もう自分への想いは薄れゆくと思っていた。過去の恋がそうだったから。

　もしもあの日にそれを知っていたら、二人の結末は変わっていたかと言われると、それはわからない。やはり祥子への想いがあるならと身を引いた気はする。

　それでももっと互いの想いを伝え合っていたなら、きっと二人がこんなにも苦しむことはなかっただろう。和真が祥子とやり直す未来も、もっと簡単に訪れていたかもしれない。

　和真を深く深く傷つけていたであろうことを理解し、莉都花の瞳に涙が浮かび始めた。今にもこぼれ落ちてしまいそうなそれを、莉都花は必死に押しとどめる。元カレの前で泣くなんて最低な行為はしたくない。

　必死に堪えている莉都花を和真が優しく宥めてくれる。
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