プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 柊仁の待つ車へと戻れば、優しく「おかえり」と迎え入れてくれる。

 すぐにでも柊仁に話をしなければと思うが、感情が高ぶり過ぎていて、上手く言葉にできない。

 柊仁は莉都花のその状態を察してくれたのだろう。

「少しドライブに行こうか」

 それだけ言うと、あとは無言で車を走らせ始めた。

 莉都花も知らない道を走っていく車の中で、莉都花は己の気持ちと向き合う。たくさんの感情が渦巻いていて、簡単には整理できない。

 和真としっかりと話せたことですっきりとはしているものの、あの場では堪えていたものもあったから、柊仁のもとへと戻った今は、いろいろな思いで胸がざわめいている。

 そんな感情一つ一つと静かに向き合う中、柊仁は何も言わずにひたすら車を走らせ続け、しばらくするとひと気のない場所で、車を停止させた。

 エンジンも切り、本格的に車を止めたかと思うと、柊仁は自分のシートベルトを外し、続いて莉都花の分も外す。そして、その流れのまま、莉都花をぐっと自身のほうへと引き寄せた。

 その状態のまま、柊仁に優しく頭を撫でられれば、莉都花の口からはぽろぽろと言葉がこぼれ始めた。
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