その先もずっと 〜愛する彼と千日を過ごしたら、幸せが待っていました〜
 彼は駐車場に車を停めると、私を連れて店に入った。

 店内は四重奏の生演奏が流れていた。

 ギャルソンが私たちを窓際の席に案内してくれる。

 白いクロスのかかったテーブルには、花に囲まれたLEDキャンドルの光が揺れていた。

「高そうだけど、大丈夫?」

 私はコソッと彼に聞く。

 彼は苦笑して、大丈夫、と答えた。

「君と付き合って千日の記念に、と思ってさ。ちょうど誘ってもらえて良かった」

 気づいていてくれた。

 私は嬉しくて、彼を見つめる。

「重かった? 嫌ならごめん」

「ううん。嬉しくて」

「次の記念日は……そうだな、一万日記念とか?」
「数えてられるかなあ」

 私は思わずふふっと笑った。

 スマホを出して計算してみる。

「二十七年とちょっと……かなり先ね」

「千日でも三年弱だからなあ」

 彼は苦笑した。

 ソムリエが来たので、話はそこで途切れた。

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