過去を知りたがる女【短編】
男は煙を吐く。

「たばこを買う」

「そんなんじゃ使い切れないよ!」

「たばこ買って。あとは、、、貯金だ」


そう言うとベットから降りて下着を穿いた。

「何よ、それ。私の時はイチイチ聞いたくせに!」抗議する。

男はそれを聞き流し、上着に腕を通すとポケットに手を入れ、手に取ったお札の束をこっちに投げた。

「ホテル代だ」

「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなつもりないから!」ホテル代にしては多すぎる。

「たばこ買うには多すぎるんだ。家の頭金に使えよ」

男は部屋を出ようとする。

「あのさ、私、あの店で待ってるからさ!また、来てよね!」



 バタン・・・カチャ


トビラがゆっくりと閉まり、ノブが上がった。

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