クールで無口な彼の本性は、アイドルオタクでした⁉︎

人気者の稚隼くんは、実はアイドルオタク〜⁉︎

__ありえないよね、稚隼くんがいたなんて。
だって、いつも何に関しても興味なさそうにしてるし。
チケット争奪戦に挑んだ私はそんなことを忘れて、行列の最後尾に並ぶ。
ゲットできるかなぁ…?
その後、無事にチケットをゲットした私。
人違いでもいいや‼︎ 謝ればいいし!
私は稚隼くんと思われる人に声をかけた。
「ち、稚隼くんっ…ですかっ⁉︎」
私は早口&敬語になってしまった。
「なんで茉白が…?」
やっぱり稚隼くんだ‼︎
「私の名前…覚えててくれたのっ⁉︎」
「は…?当たり前じゃん。教室でかげ薄くても、一応はクラスメイトだろ。ってか、俺が質問してるんだけど?」
稚隼くんは悪気なく言ってるみたいだけど…、かげ薄いって…『一応は』クラスメイトだって…。
私は心の中で苦笑い。
「あっ、ごめん。えっと、私はあれっぷの大・大・大ファンなんだよ!だから、ライブチケットの発売を楽しみにしてて…、今、ようやくゲットしたんだよ‼︎…私も質問なんだけど…稚隼くんってあれっぷのファン?」
稚隼くんは、一瞬、クールな表情を崩した。
「……バレたか…頼む、誰にも言わないでくれ。茉白の言う通り__俺、茉白以上の大ファンなんだ。だけど、学校では恥ずくて誰にも言わないようにしてる。今日もバイトだってウソついて、あれっぷのライブチケット、ゲットしたんだ」
稚隼くん、頬が緩んでる。
「ふふふ」
「なんだ、悪いか」
稚隼くんはまた無表情に戻る。
ムスッとしてるの、かわいい。
「悪くないよ。一緒に推し活、しようよ」
気がついたら、そんなことを言っていた。
「あっ…ごめん‼︎ 嫌だったら全然いいんだ‼︎ ただ、私…推しが同じだから、ちょっと興奮しちゃって…。ごめん、稚隼くん」
「別にいいけど」
フィッと顔をそらす稚隼くん。
「それと、呼び捨てでいいから」
「え?」
「呼び捨て、でいい」
相変わらず目が合わない。
けど…呼び捨て⁉︎ ドキドキしちゃうよっ…!
「みんな呼び捨てだからな…っ、なんか言えよ」
「も、もしかして、照れてる?」
耳が真っ赤だよ。
「だっ、黙れ…」
かわいい!実は照れ屋だったりして。
「お前は、いつからあれっぷのファンなんだ?」
「私は、デビューした瞬間からファンだよ‼︎ あっぷるかわいすぎるし、ぐれーぷもカッコいい!稚隼く…稚隼は、やっぱりぐれーぷ派?」
「…まぁ、そうだな。ぐれーぷは俺と重ねちゃあれかもしれないけど、似たような雰囲気あるし、ピアノとかめっちゃすごいし、あっぷるを想う気持ちとかも伝わってきたり、いきいきと演奏したりする姿…見ているだけで、幸せだ。これは誰にも言ったことないけど、あっぷるも推し。その…そうだな。世間一般的にかわいい、っていうやつかな。あと、あっぷるも恋の歌を歌うときは、目ぇキラッキラさせてぐれーぷの方見てるし、本当に好きなんだなぁって…」
ま、待って、稚隼!
キャラ変してない⁉︎
「これ、俺の部屋」
写真を見せてもらうと、壁にはあれっぷのポスターがびっしり‼︎
机とかにもあれっぷLOVEって書いてあるし、私がゲットしてないグッズとかもめっちゃある‼︎
うわっ、推し活神‼︎ とかも書いてある‼︎
も、もしやこの人__というか、絶対、アイドルオタクだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎‼︎
意外すぎる一面だよ‼︎
学校ではあんなにクールなのに‼︎
裏ではテレビの前とかでペンライトふってたりして!
もう一度写真をよく見ると、自分専用のテレビと思われるものにも、びっしりスクショしてコピーしたあれっぷの写真が貼り付けられてて…。
ベッドには、あれっぷのミニぬいぐるみ!
「いいだろ」
ちょっとドヤ顔で言う稚隼に、私は少し苦笑した。
「いいね」
「ふふん。だろ?お前はまだあれっぷファンの期間が短い。俺はデビューする前からファンなんだ。お前と一緒にしてくれちゃ、困る。今度、ライブ、一緒に行こうぜ。ライブは日曜日だから、その前に__土曜日あいてるか?あれっぷの良さをたっぷりと語り合おうぜ」
「あいてる…うん、語り合おう…」
私が推し活一緒にしようって言ったとき、絶対乗り気だったよね‼︎
クラスの女子に大人気の稚隼くんと、絶対言えないヒミツができちゃった♡
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