余裕ちゃんは5人の王子から逃れたい。
女子たちがきゃーと黄色い声をあげる中、私は興味を無くして外を眺めている。

すると、隣の席に彼が座ってきた。


「こんにちは、由貴様」

「……学校でその呼び方すると、バレちゃうよ」


あくまでこの関係は秘密にしないと。私が命を狙われているなんて周りにバレたら、大変なことになるもの。

一応同い年のようだし、敬語じゃなくてもいいだろう。


「じゃあ、由貴ちゃん」

「……うん、どうしたの」

「僕、一生懸命キミを守るから……よろしくね」


にっと微笑んだ。彼はふわふわな金髪が特徴的だ。

おまけにいい匂いもする。石鹸の香り。


「私、申し訳ないけど自分で自分は守ろうと思ってるから。あなたたちに頼るつもりはないの」

「そんなこと言わずにさ」

「……男女の関係なんて、先が見えてるんだから」

「……じゃあ、好きにならなければいい?」

「え?」


眠たげな目で、こちらを見つめてくる。


「本気で君のこと好きにならなければいいってこと?」

「……わかんないや。やっぱ忘れて。護衛も今日だけでいいから」

「……釣れないなぁ」


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