幼馴染みが皇帝になった件
「アンヌ……」

もう少しで崩れそうなヴィクトルを、私は走って行って、抱きしめてあげたかった。

その時だ。

「皇太子殿を、名前で呼ぶなんて!」

「なんて、不謹慎な女だ!」

周りの視線が、痛かった。

思い余って、私は列の中から、飛び出した。


私を追って来たのは、アリスティドだった。

「アンヌ!」

私の腕を掴んで、アリスティドは、はぁはぁと息を切らしていた。

「どうした?急に。あんな事叫ぶなんて。」

「周りの人が、ヴィクトルを頼りないって。バカにしたのよ!」
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