幼馴染みが皇帝になった件
結局、アリスティドは近くを通りかかった、大人の人に助けられた。

ヴィクトルもアリスティドも、びしょ濡れだったのに、その大人が心配したのは、ヴィクトルだけだった。

なんとかその大人をなだめて、帰ってもらったけれど、私とヴィクトルは、アリスティドの事が気になって仕方なかった。

「ティド。何でさっき、俺の手に捕まらなかった?」

「別に。ヴィックに捕まらなくたって、助かると思ったからだよ。」

アリスティドは、濡れたシャツを脱ぎ、何かを誤魔化していた。

「実際、違っていたじゃないか。」

「そうだな。」

そしてアリスティドは、ヴィクトルと目を合わせなかった。

「何だよ。最近、態度も今までとは違うし。何かしたか?俺。」

「何もしてないよ。ただ……」

「ただ?」
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