幼馴染みが皇帝になった件
「アンヌ。もうあいつに、必要以上に近づくな。」

ヴィクトルを好きだった私は、目を大きく見開いた。

「どうして?ヴィックが何かしたの?」

「何もしていない。けれど、あいつは俺達とは、違う身分なんだ。」

アリスティドの、さっきの言葉を思い出す。

「それは、さっき言った『ヴィックに何かあったら、俺達の命が無くなる。』って事と関係しているの?」

「ああ。」

アリスティドは、走り去るヴィクトルの馬車を見ながら、前髪をクシャっと、掴んだ。

「あいつは……ヴィクトルは……皇帝の息子だ。この国の皇帝になる人なんだよ。」

私の中で、何かが崩れ去った。

「……私達とは、身分が違うって事?」

「そうだな。」
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