初恋、叶えてもいいですか?
「俺は、初恋を叶えてもいいですか?」
「ダメです…。私も初恋、叶えたいので」
大西くんには本当に残念だけど、初恋を諦めてもらうしかないみたい。
だって、私も初恋を叶えたいから。
先ほどの先輩からのメッセージを思い出し、改めて自分を鼓舞する。
「でも、今、振られたって……」
「……っ!まだ諦めていませんっ!」
「へえ……。やっぱり今、そのセンパイから何か連絡がきたんだ」
笑っているのに、少し話す雰囲気がピリッとした大西くん。
「好きな人の幸せは願わなきゃいけないって思ってたけど、そんなに初恋が大事だって言うなら、俺も少しは自分の幸せを優先してもいいよね?」
大西くんは目を細めて、いつものように目尻を下げて、へらりと笑うと、私の耳元まで顔を近づけてこう言った。
「俺が初恋を叶えるから、よろしくね?」