初恋、叶えてもいいですか?


「ぜひ、今度一緒に行きましょう!では!」

これ以上、先輩の顔を見ていたら心臓がもたないと判断した私の頭と身体。

ぺこりと先輩に頭を下げ、そのまま下を向いてその場から立ち去った。


先輩と話す時は、いつもこうなる。

勝手にドキドキして、緊張して、優しく話しかけてもらっても、こうやって逃げてしまう。

たくさんの恋愛漫画を読んで、恋に憧れて、たくさんの妄想を膨らませながら、初恋をする準備は出来ていたはずなのに。

妄想だけは完璧なのに、いざ現実になったら、完璧な妄想の世界とはいつも真逆。


じわりと、目に涙が浮かぶ。

私、やっぱり恋愛は向いていないのかも。

こんなんじゃ先輩に嫌われてしまうし、もし付き合えたとしても上手くいかないよ。


ごしごしと、涙を拭いてから気付く。

これから大西くんとのデートなのに、これじゃあメイクが崩れて酷い顔になっちゃっている。

やっぱり、大西くんには今日のデートは無しにしてもらおう……。




< 15 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop