いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
「そんなにガン見されるとやりづらいわ」
「……!す、すみません。綺麗なお顔だったものでつい……」
「キミ、思ったことが顔にも出るけど、口にも出るね」
「意思疎通には困らねぇな」なんて続けて話しながら治療中の患部に視線を落とし、慣れた手つきで処置を施していく彼に言われたその言葉は、最近別の誰かからも似たようなことを言われた憶えがある。
「へ、へへ……」
「いや褒めてないけど。――これで良し」
「あっ、ありがとうございます!」
目の前の彼の美形ぶりに注目する余り、肝心な怪我の方は完全に意識の外に飛んで行ってしまっていた私は、そこで初めて丁寧に手当された傷跡の状態に目を落とす。
打撲した患部は適度に冷却した上で湿布を貼り、剝がれないようにネット包帯で固定されていて、もう一方の擦り傷も洗浄と止血がなされて、上から傷パッドが貼り付けられていた。
「簡易的な処置はしたけど、痛みが長く続くとか熱を帯びるとか、気になる症状があったら迷わず整形外科を受診して」
「は、はい。わかりました」
「じゃ、俺は一仕事終えたし、もうひと眠りさせてもらうわ。さっきは眠る前に誰かさんに起こされちゃったからな」
その人は丸椅子から立ち上がると、先ほどまで横になっていたベッドに戻ろうと体の角度をくるりと変える。
気怠そうに口を開けて欠伸をしながら歩き出した、その時。
――ガラララ!!
勢い良く保健室のドアが開かれ、私は反射的に入口へと振り返った。
「こんちはー!すんません、うちんとこの悦さん……って、あれ?」
部屋の中を覗き込むようにしてやって来たその男性は、先ほどの彼同様に、やっぱり学生にも教師にも見えない、ラフでカジュアルな恰好をしている。
「あっ、ってすみません。生徒さんいたんだ。ひとりすか?先生いない感じ?」
「え、えーと……」
なんて答えるべきかわからず、それとなくベッドの方向に視線を向けると、先ほどまでそこに立っていたはずの例の男性の姿が忽然と消えている。
よく目を凝らして見ると、すぐ近くの別のベッドの影に隠れて、私に見えるように真顔で人差し指を突き立て、何かを合図しているようだった。
黙っていろって意味なんだろうけど、嘘をつくべきなのか、本当のことを話すべきなのか判断に困る。
「あー。そっちにいるんすね?もうー。悦さん!何してんすか!!」
しかし結局、私の困惑した反応を見ていたドアの前の青年がその様子から察したのか、大きくため息を吐きながらずかずかと中へ入って来た。