いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~

《そういうわけなんで、よかったら皆昼休みはアリーナに遊びに来てくださいねー!それじゃ!オレたちはこれからしばらく理事長――って、うわ!?洸さん悦さん、いい加減離れて!放送室の前に生徒さんたちが集まり出してんすよ!

……ああっと、それじゃオレらはこのへんで!バイバーイ!》


ブチッ――!

その後唐突に放送が打ち切られ、辺りの生徒たちが一様に悲し気な声を出す。


「あー遼太郎~!」
「ねえ、放送室の前に生徒が集まって来てるって言ってなかった?うちらも行っちゃう?」
「そうだよね、今行けば3人を間近で見れるってことだもんね!?」


そんな不穏な会話が至る所から聞こえてきて、それはちょっと……と口を挟みかけた時。

キーンコーンカーンコーン

ナイスタイミングで予鈴が鳴り、生徒たちは口惜しそうに各々の教室へ戻って行った。


この学校の生徒が、ちゃんと授業を優先できる真面目な子たちでよかった……。


《普通科2年A組学級委員2名とイベント実行委員3名は至急理事長室まで来てください。繰り返します。普通科2年A組――》


――え!?

直後アナウンスされた他の教師のその声に、向かいのエレナと私は目を丸くて顔を見合わせる。


「おーい、エレナ!あ、菜礼も一緒やったんやな。てかまだジャージってどないなってんねん。って、どないしたんその両膝」

「ま、まあイロイロとありまして……。それより、今の放送聞いた?」


そこに合流したのは、グランドに併設されている更衣室で着替えを終えて戻ってきたらしい颯介くん。少し後ろに白亜と黒芭くんの姿も見える。


「ああ。ようわからへんけど、理事長室に今から来いってやつやろ?授業始まるっちゅーねん。エレナ、親父さんから何も聞いてへんの?」

「聞いてねーよ。アタシも用件に心当たりすらねーしな。ま、パパが呼んでるなら行くしかねーんじゃねーの?」

「せやなあ……。おーい、このまま二人と理事長室行くで」


私たちと話を済ませた颯介くんが、後ろをマイペースに歩く双子に大声で呼びかける。

“了解”の意なのか顔の横でOKサインを示す白亜と、聞こえてはいるであろうが無表情でそっぽを向いている黒芭くんを見て、「アイツら相変わらずやな~」そう頭を掻いて颯介くんは苦笑い。それについては概ね同意だ。


双子が近くまで来るのを待って、呼び出しを受けた私たち5人は、理事長室へ向かって足早に歩き出した。

< 107 / 129 >

この作品をシェア

pagetop