いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
一般的に、通信制高校から全日制高校への転学っていうのは色々と条件があったりして、なかなか困難を極めるものらしいのだが。
「僕たちの通っている私立東蘭高校の理事長は、実はうちの親戚で」
白亜くんが丁寧に説明してくれたおかげで、祖母が入院してから今日までのこのわずかな準備期間でもなんとか事態が進んでくれたことにも納得がいった。
ちなみに具体的に言うと、東蘭高校の理事長は聖さんの弟――つまり、白亜くんや黒芭くんの叔父に当たる方が務めているらしい。
「そういうわけでイトコも通ってて。もしかしたら在学中に菜礼さんも会うことになるかも、しれないんだけど」
「そうなんだ。それはちょっと楽しみ」
特に何も深いことは考えず、至って自然な流れでそう返したはずなのに、その言葉を聞いた白亜くんはどこか気まずそうな顔をする。
「どうしたの?」
「いや、まあ。うん。イトコとも、学校自体とも……気が合うといいんだけど」
「……?」
白亜くんの歯切れの悪い言い方がなんとなく気にはなるものの、全ては通ってみなければわからない。
私は「わかった」とだけ返事して、部屋に準備してあるという制服の試着をするため、彼に自室へと案内してもらった。
「わああ!可愛いー!学校のホームページで見てはいたけれど、実際に見てもやっぱり可愛い!」
有名デザイナーが手掛けたというそれは、着回しの自由度も高く、私立の進学校らしい洗練されたお洒落な制服という印象。
夏服はエンジもしくは紺の三角タイが爽やかな白のセーラー服、冬服は校章入りの無地かチェックのリボン・ネクタイから選べる紺のブレザー服スタイルだ。
夏服の三角タイ、冬服のリボンとネクタイには、学年別に色の異なるラインが1本入っており、それによって一目で判別がつくようになっている。
「それは良かった。よく似合ってるし、サイズも問題ないなら何よりだね」
白亜くんはにこやかにそう言って、照れるでもなくスマートに、さらりとした口調で褒めてくれる。
きっと彼……ものすっっごく、モテるんだろうなあ。
この整った顔立ちと、170cm台後半はありそうな恵まれたスタイル、それらに引けを取らない美しい所作にこの紳士的な立ち居振る舞いとくれば、異性の注目の的になることは容易に想像できる。
容姿だけで言えば、同じ顔をした黒芭くんだってモテるんだろうけど……。性格が難ありそうだから、彼のことは一旦置いておきたい。(あと手放しで褒めるのは何となく癪だし)