いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~

敷地内に入り少し歩くと、さながら海外の教会を模したような、エレガントで美しいデザインをした玄関のドアが視界に映る。


ひえぇ……。
さっきから一体なんだというんだ。

今まで私がお祖母ちゃんと住んでいた築うん十年の年季の入りまくった平屋とは打って変わり、ここは漂う空気すら別世界のそれと思わずにはいられないほどに洗練していて澄んだ感じがする。

こんな異次元の暮らしを当たり前に経験している人たちと、果たして上手くやっていけるのか。既に不安でしかない。


ウィーン――

なんてネガティブ全開でやって来た私の視界で、向かいのそのドアが開く。


中から現れたのは、私と同じくらいの年頃の青年だった。

ミルクティーベージュのさらりとしたマッシュヘアに、淡い色素の瞳。色白できめ細やかな素肌。形の良い通った鼻筋とバランス良く添えられた唇。無駄のないフェイスライン。

見目麗しいとはまさにこのことである。


この人、さっきのちょっと感じ悪い人……?


端正なその見た目に反して、そんな失礼な予感を半信半疑に抱いた私に対峙し、

――にっこり。

彼は、絵に描いたような美しい微笑をたずさえて、私を出迎えるようにそっと手を差し出した。

突然の振る舞いに戸惑う私を余所に、その傍らに置かれたキャリーケースをさりげなく自らの手で引き寄せると、彼はもう一度私へと向き直ってこちらを見据え、半身を翻す。


「……あ、す、すみません。えっと」

「ようこそ神代家へ。待っていたよ。菜礼さん」


そうしてスマートにもう片方の手を開いたドアの先に広がるエントランスへ向けると、歓迎の笑みを添えたまま、私を中へと促してくれた。

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