いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~

「……?」

「どしたー?」


帰り際に配布されたタブレットをカバンに詰めながら、私はふと何かの視線を感じて教室の後ろ側のドアへ振り返った。

丁度支度を終えたらしいエレナが、こちらへ近付きながらそう声をかける。


「いや、なんか、見られていた気がしたんだけど……気のせいだったみたい」

「ゲーー!それって何?ユーレイ?菜礼って霊感あんの?コエーんだけど!」

「ないよ。そういうの信じてないもん」


エレナは私を訝しむように凝視してわざとらしく一歩距離を取る。


「シロー、一緒に帰ろう~?」
「てかたまには遊んでよぉ~」


そんな中、私の右隣の席に集まる女子たちの中心から「ごめんね。弟を起こさなくちゃ」そう声が聞こえて、背後で席を立つ白亜くんの気配を感じた。

相変わらず特等席で顔を伏せて眠っている彼の弟は、前の席に座る颯介くんにちょっかいをかけられても微動だにしない。


っていうか今更だけど、あの双子って白亜くんがお兄ちゃんだったのね。

偶然にもそんな些細な小ネタをゲットして、そのまま何気なく双子に目を向ける。


「はぁ~ねっむー。アタシらも帰ろーぜ。ユーレイに憑りつかれてもヤだし」

「だからユーレイじゃないって」


未だ疑いの眼を向けてくるエレナに苦笑して返しつつ、忘れ物がないかを確認して、私たちは一足先に教室を後にした。

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