いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
ゆっくりと一歩、足を踏み入れたその先には、吹き抜けのエントランス、奥にはガラスで出来た透明の緩やかな螺旋階段と、広々としたスペースが広がっている。
3階、もしくは4階くらいはあるのだろうか。
随分と天井が高く、眩いばかりの日の光が屋内を照らし、この澄んだ空気に相まってとても清潔感がある。まるで海外セレブのリッチなお屋敷でも訪れたような気分だ。(訪れたことはないけれど)
「きゃーーーー!!!」
「!?!?」
高級感あふれるラグジュアリーな空間に息をのんでいると、勢いよく私の元へ駆け寄ってきたその人影に突然自由を奪われた。無遠慮なまでに力いっぱい私の体を包み込んでは、苦しくなるくらいにぎゅうぎゅうに私を抱きしめている。
「ぶっ!!!」
豊満すぎるバストになす術なく視界と呼吸を持っていかれる。一体何が起こったのか到底理解もできないまま混乱した私の頭上に、また別の声が降って来た。
「コラコラ、凛々子。びっくりさせてしまうだろう?」
「だってだって、こんなに可愛らしい女の子だったものだから……。大丈夫だったかしら?ごめんなさいね、私ってばつい」
ようやく解放された私の目の前には、目鼻立ちのくっきりとした艶肌の美女が心配そうな面持ちでこちらを覗き見ながら立っている。
「あ、あの……」
「妻の暴走に巻き込んでしまってすまなかったね。僕は、家主の神代聖だ。そして妻の凛々子。こちらが息子の白亜だよ。君が、なつ恵さんのお孫さんの、菜礼ちゃんだね?」
お茶目な奥様の行動を詫びるように眉を下げてやって来た傍らの紳士は、そう端的に自己紹介して、流れるような仕草で手を差し出してきた。