いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
小さな体は冷え切っておりボロボロで、今にもその命の灯が消えてしまいそうな状態だった。
「――何してんだよ」
「あ……」
私を追いかけてきたのか、私の腕に横たわる傷だらけの子猫に目線を落とす背後の黒芭くんに、何となく言葉が続かず言い淀む。
私の言葉を黙って待っている彼から目を逸らして、子猫の傷に触れないように気を付けながらそっと立ち上がった。
「事故か何かに遭ったみたいなの」
「それで」
「まだ生きてる。助けてあげたい」
「……」
こうして話している間にも、子猫の生命力はどんどん失われている気がして、私は大通りへ抜けて、辺りをキョロキョロと見回した。
「この近くに動物病院はねーよ。もう少し進んだ道の途中に一軒、あったと思うけど」
「え!本当!?」
「アンタさ、その猫を助けるって意味、わかってる?助ける側にも責任はついてくる」
「わかってる。勝手に連れ帰るわけにはいかないけど……でも、このまま放っておいたらこの子は死んでしまう」
私が怯まずに強い眼差しでそう答えると、やれやれと言わんばかりの態度で、彼は「こっち」小さく声を出して、人通りの少ない路地裏へと進んで行った。
その背中を追いかけてしばらく走ると、視界に犬と猫の絵が描かれた看板が見えて来る。
私は子猫を抱えたまま急いで院内に駆け込み、受付のスタッフと、偶然すぐ傍で会話をしていた獣医らしき男性に声をかけた。