いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
black side⁺゜
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最低限の家具だけを配置して、モノトーンで統一した殺風景な部屋の天井をじっと見つめる。
「……クソ」
目の前を両腕で覆い視界を遮っても、あの時の光景は、俺の脳裏に鮮明に蘇っては頭から離れてくれない。
こんなに時が経ったというのに。それでも俺は未だに、当時の深い後悔の渦の中にいる。
だってそれは、俺が殺してしまった命だから。
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「ね、ねえ、は、白亜!」
「――なに?」
目の前に立つ小さな少年は、5歳という年齢に到底見合わない、光のない暗い瞳をして、無感情に俺を見据えていた。
「ぼ、ボクのお兄ちゃん、ならさ、一緒に遊んでくれる?」
「――なにして?」
「それは、えーと……かくれんぼ、とか」
突然現れた“双子の兄弟”とかいう存在に、当時の俺はそれはもう妙に浮足立っていて、ヤツと対峙する時は大抵いつも空回りしていたような憶えがある。
それでもやっぱり兄貴の存在は、それまで一人きりだった俺にとってはめちゃくちゃ嬉しくて、どうにかこの笑わない少年と仲良くなりたい、その一心に焦がれて、アイツの笑顔を引き出そうと毎日必死だったっけ。
「かくれんぼ?キミって、子供みたいな遊びが好きなんだね」
「子供みたいって……。だってボクたち、子供じゃん……」
「……まあ、別にいいけど。どっちが鬼をするの?」
白亜は当時から、子供ながらに見惚れるくらい綺麗な顔をしていて、纏っている雰囲気もどこか異質だった。
と言っても、俺の双子の兄弟なのだから、顔の造り自体はそう変わらないはずなのだが、それでも俺とはどこか違っていて。
周りの大人たちもそんな白亜の不思議な空気感を、一歩引いた目で見ていて、その辺を走り回っているようなありふれた5歳児とは明らかに一線を画す存在だった。