いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
「――うわっ」
左右確認もまともにせずに公園から飛び出した俺は、突如現れた誰かの体に衝突しかけて、急ブレーキをかける。
「わあ!びっくりした!ちょっとキミ。突然突っ込んできたら危ないでしょう?」
それは、中型犬の散歩をしていた20代半ばくらいの女性だった。
「公園はあなたひとりの場所じゃないのよ?色々な人が利用するところなんだからちゃんと周りへの迷惑を考えて……って、ちょっと!?どうしたの?なんで泣いてるの!?」
眼鏡をかけたその女性は、俺が急にわんわんと泣き出したものだから、それは驚いたことだろう。
注意するのも忘れて俺に背丈を合わせると、その手元に抱えた小さな存在に視線が移る。
「この子……どうしたの?」
「こ、公園で、倒れてたんだ……。怪我してて……ボク、どうしたらいいか、わからなくて……」
嗚咽交じりに泣きじゃくる俺の背中をさすりながら、
「わかった!わかったから落ち着いて!」
女性はとにかくまずは俺を落ち着かせようと必死に苦笑いする。
「私も家に猫がいるの。この近くだし、よかったら私の家で手当てをしてあげるわ。一緒に来てくれる?」
「え!本当!?うん、ボクも行くよ!」
女性に力強く頷くと、彼女は泣き止んだ俺に安心したのか、笑って公園から踵を返そうとする。
それを追って、出入り口にある車止めを避けようと立ち上がった、その時。
「黒芭。どこに行くの?よく知らない人について行ったら危ないよ」
「あ、白亜……。大丈夫だよ。この人は猫を助けてくれるんだから」
俺の跡を追ってきたのか、いつもよりも少し強めに警戒心をあらわにした白亜が後ろに立って俺と女性を睨むように見ていた。
それまでなかなか俺のことを名前で呼ばなかった白亜が、珍しくちゃんと俺の名を呼んで行動を制止する。