いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
俺とそっくりな顔立ちの白亜を見て、すぐに双子だと理解したのだろう。
女性は一瞬困ったような表情をしたが、すぐにやわらかい笑顔になって、俺の頭を優しく撫でる。
「彼はキミのお兄ちゃん?」
「う、うん。白亜はボクの……お兄ちゃんだよ」
「そっかそっか。それじゃあ二人とも一緒においで。私の家を教えるから、この子の傷が治るまで一緒にお見舞いに来るといいよ」
女性の連れていた中型犬が、俺にじゃれつくように顔を摺り寄せてきた。
元から動物が好きだった俺は、それに応えて犬を抱きしめる。
「白亜、早く行こう」
「……。もしあなたが変なことをしたら、僕がすぐに通報しますよ。110番通報」
「110番通報を理解してるとは、本当にしっかりしたお兄ちゃんね~」
その時の女性も、白亜の大人びた物言いにすごくびっくりしていたような気がする。
俺には“110番通報”なんて用語も全然ピンときてなくて、とにかく白亜がその女性――というか、見ず知らずの大人のことをすごく警戒していたことだけは伝わってきた。
その後、本当にすぐ近くだった女性の家に着くと、彼女はペット用の救急箱を取り出して、慣れた手つきで子猫の手当をしてくれた。
猫はその後1週間も経った頃には普通に歩いてご飯を食べられるまでに回復していて、俺はその間、何度もその家に足しげく通ったものだった。