いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
その後すぐに担任の先生が入ってきて、デジタルボードにすらすらと何かを書き始める。
学級委員2名、イベント実行委員3名、風紀委員2名、美化委員2名、体育委員2名、広報委員1名、図書委員1名、放送委員1名――
クラスメイトたちがその意図を理解したのか、一様に顔を曇らせる。
そう、1学期恒例、委員会の役員決めだ。
「はい、じゃあ、まずは学級委員男女2名な。一応訊くが、立候補あるヤツはいるかー?
……予想通りだが誰もいないので、先生お手製のクジで決めたいと思いまーす」
生徒たちの憂鬱そうなブーイングを一蹴し、おもむろにアナログ仕様の手作りクジを持ち出した先生は、早速箱の中から、1枚折り畳まれたクジを抜き取る。
「――桃園。はい、学級委員の女子は桃園な」
「はあ!?アタシ!?マジかよ!!」
余程運が悪かったのか、敢え無く指名されてしまったのはエレナだった。
周りの生徒たちが安堵する中、ひとり悔しそうに天を仰ぐエレナに、先生はニヤリと笑って続ける。
「桃園、安心しろ。最初に選ばれたお前の特権として、他の役員のクジ引きを担当させてやる」
「はー!?んなのどうっでもいいわ!誰が引いても同じだろーが」
「そうかー?んじゃー、お前が名指しで指名してもいいぞー。相手が承諾すればな」
「お、マジで?」
先生からの想定外の切り替えしにエレナの顔色がパッと明るくなる。
待って。怖い。嫌なんだけど。
エレナと目を合わさないように顔を背ける生徒が続出する中、エレナは席を立ち、ぐるりと教室内を見回した。
「んじゃ、学級委員は一旦置いといてー、イベント実行委員は、双子と菜礼な!」
「……」
何となく予想していた通りの結果となり、私と隣の席の白亜くんは同時に項垂れる。
一応、双子のもう一方のほうもそれとなく確認してみると、いつも通り顔を机に伏せて熟睡中のようだった。
起きたら相当怒りそう……。