いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
二人の関係性がなんとなく垣間見えたところで、私は未だに恥ずかしそうな颯介くんに続いて教室を後にする。
途中の突き当たりで学級委員の二人と別れ、私と双子はイベント実行委員が集結する普通科3年A組の教室へ向かった。
他のクラスの役員たちが集まり始めている中、一番後ろの横3席が空いていたことを確認し、私と双子は黙って席に着く。
その間、黒芭くんはひたすらスマホでゲームか何かを操作していて、明らかに委員会へのやる気はゼロに等しかったけど、定例議会が始まる頃には、そんな余裕綽々な彼の様子が一変することになる。
「――全員静かに!注目!」
進行役の3年女子の先輩が全員に号令を放つと、手前のドアからゆっくりとした足取りで教室へ入ってきた3年男子の先輩に、皆の視線が釘付けになる。
「……な」
「……あはは、マジか」
その青年の登場に皆興味を惹かれていたけど、実際は、私の両隣に座る彼らが恐らく一番動揺していたと思う。
私が二人を交互に見返して状況を問うも、二人は驚嘆の声を上げたままこちらに見向きもせず視線を彼に投げて、今も尚ぎこちない表情を浮かべている。
「あっれー!?もしかして、そこに座ってるのって、白亜と黒芭!?マジマジ?お前ら委員会入ったの?何それウケるじゃーん!」
「ちょ、ちょっと櫂先輩!」
その3年生のはつらつとした物言いに、進行役を務めていたクールな女子の先輩の張り詰めた表情が崩れる。
対して、突然名指しされた例の二人は、さっきまで強制的に引き寄せられていた視線をあからさまに彼から外して、なんとも言えない表情で無言を貫いていた。
「あ、仁礼ちん、ごめんごめん。
皆、集まってくれてありがとー!俺、前期のイベント実行委員の会長やります、3年の桃園櫂でーす!会長だけにカーイ!なんちゃって〜♪あ、でも3年と言ってもダブったから2回目の3年生でーす☆どうぞヨロシク~♪」
意気揚々とした軽い口ぶりでピースするその先輩に、女子の先輩――仁礼先輩は、予測した事態に陥ったのか、額に手を当てて苦々しく顔を歪めている。