いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
しばらく様子を窺っていると、だんだんと興奮して声を荒げ始める三人組の高圧的な態度が目立ち始める。
「お前っ!生意気なんだよ!」
「……!」
危ない――!!!
そう気付いた時には体が勝手に飛び出してしまっていた。
「なっ――!?」
「……っ!」
突然目の前に現れた私を見て目を丸くする男子生徒が、勢いを殺しきれずにそのまま右手を押し込んできた。
「きゃっ……」
「あぶっ――!」
到底女の力では踏ん張りがきかず背後にのけぞる私は、真後ろの琉唯くんもろとも圧し掛かるようにして派手に転倒してしまった。
「ぃったぁ……」
「……痛いのは僕なんだけど。ちょっと、重いから早く退いて!」
私に潰されかけている琉唯くんが、物凄く険悪な顔でこちらを睨みつけている。
「……きゃあああ!ごめんなさい!」
慌てて立ち上がると、その状況に動揺した向かいの男子生徒が一歩、二歩と後ずさって言った。
「な、なんだよお前、急に飛び出してきやがって……。お、おい、もう行くぞ!」
突然の事態に怯んだ様子のその生徒は、おろおろと下がりながら後ろの二人にそう声をかけてそのまま逃げるように走り去って行く。
「な、なんなの……あの三人は……」
着用していたネクタイを見るに琉唯くんと同じ1年生のようだけど、数の力で相手を押さえつけようなんて卑怯にもほどがある。
私はスカートについた汚れを手早く拭うと、同じく制服に舞った砂埃を払って立ち上がる背後の彼へと振り返った。
「琉唯くん、大丈夫だっ――」
「何アンタ。マジでお節介。かなりウザいんだけど」