いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
指摘されても尚、態度を改めるでもなくぶっきらぼうにそう名乗る息子を前に、聖さんは盛大なため息を吐く。
「ごめんね、菜礼ちゃん。躾のなってない息子で」
「い、いえ。そんな……」
と反射的に返すものの、確かにお世辞にも礼儀正しい、とは言えない気がするので言葉に詰まる。
ま、まあ一応これからお世話になるわけだし、雑とはいえ挨拶はしてくれたんだし。
「えと、私、咲田菜礼です。これからよろしく……ね。黒芭くん」
白亜くんもさっき同い年だから敬語はナシでいいと言っていたことだし、そう思い返して私もぎこちなく挨拶する。
「それさっき聞いたし。つか別に俺はアンタとよろしくする気はないんで」
「な……」
そんな私の心情を気にも留めず、彼――黒芭くんは、明後日の方向に視線を投げたまま、遠慮のない口調で投げやりに答えた。
こ、こいつ……。本当態度悪い!
口にこそ出さなかったものの、私の表情にその感情がしっかり現れていたのだろう。
「安心しなよ。俺もアンタのこと嫌いだから。どうぞお構いなく」
彼はそれだけ言い捨てると、私に背中を向けてひとり、すたすたと2階へ戻って行った。