いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~

学校から家までの道のりの、三分の一辺りを過ぎたエリアに位置するその動物病院。

大体15分くらいが経った頃、私たちは病院に到着した。


手動ドアを開けて中に入るが、待合室には他のお客さんはおらず、私の来院に気が付いたらしい受付の女性が奥から姿を現した。


「咲田さん、こんにちは」

「こんにちは。この間はお電話いただきありがとうございました」

「いえいえー。あら、今日は一人なの?」


受付スタッフの森さんは、私の後に続いて入って来る人影がないことを不思議に思い首を傾げる。


「あ、いえ。今近くの駐輪場まで自転車を停めに行っているみたいで」

「そうだったのね。この病院、上のテナントさんのお客さんが多いと駐輪場すぐにいっぱいになっちゃうものね~。申し訳ないわ」


私が今回お世話になっている動物病院――あおぞら動物病院は、小さなマンションの1階部分で診療を行っていて、上の階には別の店舗がテナントを借りており、駐車場や駐輪場は建物全体の共用となっていた。

そのため日によっては混雑していることも少なくなく、今日は着いた時点でいっぱいだったため、近隣の有料駐輪場を探しに出た黒芭くんとは建物の前で別れていたのだ。


「あ、でも実は今日、ある人とここで待ち合わせをしていて……。その人にも猫ちゃんの状態を見てもらいたいなと思っているんです」

「あらそうなの?もしかして、保護猫施設の方?」

「そうです!時間的にも多分もうそろそろ着くはずで……」


時計の時刻を確認しながらそう言いかけた時、向かいの森さんが私から視線を外し、背後の入り口へとそれを投げた。

カランカラン、とドアに掛かったベルが音を鳴らし、1人の女性が現れる。


「あっ……」


振り返ってすぐに目が合ったその女性は、見た目では30代前半くらいの年齢に思える。色白で鼻は高く、上品なポニーテールがよく似合う、すごく綺麗な方だった。

もしかして、この方が――

「――HIRAさん、でしょうか……?」


私がぎこちない口調でそう尋ねると、女性は目じりに小さなシワを寄せて優しく微笑んだ。


「こんにちは。ジモニーではどうも。保護猫団体キャットプラスから参りました、平河幸音(ひらかわ ゆきね)と申します」

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