いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~

「知ってる?チョコレートを摂取すると、カカオポリフェノールとテオブロミンの成分の働きで、心身のストレスを緩和させてリラックスさせる効果があるんだよ」

「っ!?」

「おまけに食物繊維のリグニンが豊富で便秘改善にも繋がる♪」


私の口内にまだチョコレートの余韻が残っているうちに、彼は陽気な口調で畳みかけるようにそう話す。


「……?」

わけがわからずに目線で意味を問うと、彼の口角がにんまりと高く上がった。


「要するに、こんな寝る間際の夜11時過ぎにうっかり食べてしまっても太らない♪」

「……!そ、そうだよ、もう~!こんな時間にやめてよー!……って本当?夜中にチョコ食べても太らないの?」

「ごめん嘘。それについては僕しらべ僕持論」

「……」


そりゃあなたみたいな元来太らない体質とか呼ばれる勝者側の理屈で言えば、チョコじゃなくとも大抵そうでしょうけど……。

そうは思っても、私を慮ってかただの気まぐれか、悪戯っぽく微笑む白亜くんをそれ以上責める気にもならず、私はいつの間にか解放されていた両手から力を抜いて、再び膝の上にそれを下ろした。


「そもそもなーちゃんは太ってないんだから大丈夫じゃん。それどころかもう少し丸々としてても可愛いよ?」

「もう、お祖母ちゃんみたいなこと言わないでよ。それに黒芭くんからも自転車乗せてもらう時、重い重いってクレーム受けてるくらいなのに」

「それはクロが天邪鬼なだけだよ(笑)」


白亜くんのその言葉に、ここの所ほんの少しだけ気にしかけていた体重への不安がわずかに緩む。

さすがに夕食のご飯のお替わりは1回にとどめるようになってきたけど、それでも凛々子さんの手料理は美味しくて、どうしても毎日食べ過ぎてしまいがちだ。

(でも私が最初に注ぎ足すのを見てか、最近凛々子さんの用意してくれる1杯目がもう、年頃の女子高生に向けるそれじゃなくなってきてるんだよね……食べるけど)←食べるんかい


「なーちゃんは、笑ったり怒ったり、感情表現が豊かで可愛いよね」

「……!?」

「あ、照れてる。本当すぐ顔に出るからやりやすくて助かるよ」

「言葉選び」

「冗談冗談。あ、可愛いは本当だよ?何するにも一生懸命で可愛いし、しっかりしてる振りして実際はちょっとドジなところも可愛い」


白亜くんの突然の褒め殺し(?)攻撃に免疫皆無の私はあっという間に打つ手を失い、他愛無く頬を熱くする。

もう、わかっててやってるよこの人。顔が良くてこれだから、本当にたちが悪い。

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