いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
私は紅潮した頬を隠すように少しだけ顔を俯かせて、
「……からかわないで」
目線だけで彼を凄み、必死に不毛な抵抗を試みる。
「からかってないよ。――僕の弟のことを気にかけてくれてありがとう。でもそれでキミが無用に胸を痛めるのは僕も黒芭も本意じゃない」
「……でも」
どこまで気付いているのか、白亜くんは私の言葉を遮るように、唇に軽く自身の人差し指を押し当てる。
「もう休まなくちゃ。明日、1限体育でしょ?睡眠不足で怪我でもしたら、僕が朝から晩までお姫様抱っこで介抱する羽目になっちゃうけど?」
「そ、それは勘弁してほしいかな……」
白亜くんは私の両手を引いてソファから立ち上がらせると、自然な動作ですぐ前に立って私の額にキスを落とす。
「……っ!!は、白亜くん!!」
「あ、そうそう。ずっと言おうと思って言いそびれてたんだけど、呼び名、“シロ”でいいよ?皆もそう呼んでるし」
私がおでこに両手を当てて文句を言っても、どこ吹く風で早速関係のない話題を晒してくる彼に、半ば意固地になって言い返す。
「やだよ!白亜くんの名前は“白亜”じゃん。だったら私は“白亜”って呼ぶ」
「……」
「それじゃおやすみなさい!白亜!」
私は返事のない彼を無視して、ひとり逃げるように階段を駆け上がった。