いじわる双子のお気に入り~ドタバタ☆甘キュンDAYS~
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世の中、“言霊”という言葉は本当に存在するらしい。
「……ほんとに信じられない」
翌日の午前9時過ぎ。
睡眠不足……がなかったとは言い切れないが、恐らくそれとは関係なく単純な私の運動神経の悪さかはたまた運の無さか。
「いったぁい……」
思わずひとり恨み言を呟いてしまうくらいには、私の左足のそこは、無残なまでに酷く青紫色に腫れ上がっていた。
おまけに、その拍子で盛大に転倒した挙句、思い切り擦り剥いて血まで吹き出す始末だ。本当に、とんだ災難である。
昨日白亜く――白亜に忠告されていた通り、今日の1限目は体育だったのだが、彼のあの発言はもはやフラグだったのか、バレーボールの授業で相手チームのアタッカーのスパイクを華麗に受け止めるつもりが……。
「レシーブしようとして空振りして代わりに膝を強打してしまうとは……」
しかも反射であらぬ方向に飛んで行ったボールを慌てて追いかけようとして滑って転ぶって……。
我ながら何とも恥ずかしすぎる。怪我を負ったのが顔じゃないだけ良かったけど。
あと、男子はグランドでサッカーだったからあの双子に見られる羽目にならなかったのは本当に不幸中の幸いだった。
白亜に見られでもしたら、前言通り周りの目もお構いなしにお姫様抱っこで介抱されかねないし、黒芭くんに見られでもしたら(最低限しか会話してないとは言え)一生鼻で笑われそうだ。
そうして付き添おうとするエレナの手を断り、ひとり保健室にやって来た私は油断していたのだ。
だって入った時点で部屋は暗かったし、いつもいるはずの校医の先生も不在だったみたいだから。
だからまさか、そんな情けない独り言を誰かに聞かれているなんて思ってもみなくて――
「……ぷっ」
――ぷっ?
私が傷の手当をしようと、その場に置かれていた大き目の絆創膏を手に取ると、聞こえないはずの誰かの笑い声が耳に入った。
はっとして振り返ると、奥のベッドのカーテンが使用中なのか閉められている。
や、やってしまった!誰かいた!!!
今の独り言全部聞かれてた!?恥ずかしすぎない!?い、いやまだワンチャン気のせいだったという可能性も……。
「だ、誰かいるんですか……?わ、私、心霊現象は信じないたちなのでユーレイじゃないことはわかります、よ……?」
じゃあ尚の事いるってことじゃん、と自分で自分に心の中で虚しいツッコミを入れるも、空耳であったことに一縷の望みをかけて、奥のベッドの方向に視線を向けながらぼそぼそと尋ねる。
それに応えるように閉め切られたカーテンが少しずつ開いて行くのが目に見えて、ああ、終わった……と心の底から落胆した。
「……ごめん、勝手に聞くつもりはなかったんだけど。あと確かに、俺はユーレイじゃない」
「ひ、ひえ!……え、生徒、じゃない……?ってことは私の知らない先生……?え、先生なのに保健室のベッドって使うの……?や、でも超緊急事態でお腹痛いとかなったら使うのかな……」