ソウルメイト~男女の親友ってあるの?
<OPEN YOUR HEART。夏>

そのまま、月日はたち―

「おす!」

奈緒が瀬那に微妙な笑顔で言った。

照れ臭いのを隠しての奈緒の精一杯の笑顔だった。

「―なんでおまえがここにいるんだ?」

瀬那も瀬那なりに精一杯対応した。

「なんだよ、あたしがいちゃ悪いのか?瀬那こそなんでいるんだ?」

「・・べつに」

瀬那と愛華と愛華のボーイフレンドの勇気との3人の飲み会だったが、愛華が内緒で奈緒を呼んでいた。

愛華の気遣いである。

瀬那は急なことにどういう態度をとったらいいか分からなく立ちすくんでいた。

「瀬那―、ここに座んなよ」

愛華が余計なことを言う。

瀬那は断るのも変だと思い
「―ああ」

とだけ言い奈緒の横に座った。

明らかに雰囲気がよそよそしく可笑しい。

二人は目を合わせない。

愛華と勇気がクスクス笑った。

「あんたたちさぁー、久々にあったんだろう?、ちょっと表に行って二人で話しして
きなよ。雰囲気ほぐれないだろー」

「―」
「―」

瀬那はほぐれなくさせた張本人の愛華に、突っ込みを入れようとも思ったがやめた。

やめたというより、瀬那の頭はパニックになっていたのだ。

なにしろ奈緒が結婚して、奈緒とは会わないと決め(奈緒の家庭を壊さないために)、しかし忘れられず、毎日のように思っていた奈緒が横にいるのだ。

「瀬那!」

奈緒が瀬那の手を取り強引に表に向かって引っ張った。

「何すんだよ!」

言葉ではそういう瀬那だったが奈緒よりも先に外に出ようという勢いだった。

恥ずかしさと照れでその場から離れたかった瀬那。

瀬那はなすがままに―。
< 111 / 242 >

この作品をシェア

pagetop