ソウルメイト~男女の親友ってあるの?
夏とはいえ初夏であり

風が吹くと夜はまだ冷える。

薄いジャケットを着込んだ奈緒は袖に手を隠していた。

そういうしぐさが瀬那をドキッとさせる。

「・・・」
「・・・」

表にでた二人はしばらく無言だった。

気まずい―。

瀬那は表に出るときに勇気から貰ってきた煙草に火を点けた。

奈緒と会うまでタバコはやめようと

自分なりに決意したから半年ぶりの煙草だった。

会うまでというのは・・

いつか自分たちは無意識でも再会するであろうと、信じていたからだ。

これは奈緒との特別な感覚だった。

「なんかないの?」

奈緒が言う。

「はあ?・・・、別に~…ゴホゴホ」

瀬那が久々の煙草にむせた。

クスッと奈緒は笑い・・

「―あたし」

奈緒が言った。

瀬那は

緊張をたばこで誤魔化すために

煙で輪を作りふざけていた。

そんな瀬那の気持ちと煙りを掻き消すかのように

「瀬那―、ずっと会いたかった」

奈緒が夜空に浮かぶ美しい月に負けないような笑顔で言った。

その顔を見ながら瀬那は・・

「ばかじゃん」

「・・なによー」

むくれた奈緒を瀬那はクスッと笑い抱いた。

何秒かたち瀬那と奈緒はおでこをくっつける・・

「奈緒」

「ん?」

「俺も会いたかった」

「うん」

「さっさと連絡よこせよな、馬鹿」

・・・瀬那と奈緒の気持ちは通じ、二人は半年ぶりのキスをした。

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