ソウルメイト~男女の親友ってあるの?
なんで・・・

その言葉―。

瀬那と奈緒の戻った店内は

サラリーマンや

学生の団体で賑わっていた為、

勇気以外の三人の心に

突き刺さっただけで済んだ。

「ちょっと!勇気飲み過ぎ!」

愛華がたしなめる。

同時に奈緒のビールジョッキが

ドンッ

と、音を立ててテーブルに置かれた。

それは言うな!

とばかりに。

「すんませ~ん!!ビールおかわり~!!」

奈緒は体を通路へ投げ出し、誰へとは意識せずに

よく通る声を店内へ張る。

「お~飲め飲め~!」

瀬那が煽る。

瀬那は思っていた。

専業主婦も半年もたてば、この飲み会がどんなに楽しいものか。

新しい家族の為に家事をこなすばかり、

自分の時間は犠牲にし、

家族の体裁を守り、

明るく振る舞って

いい妻を演じている毎日。

一緒に暮らして見ていたワケじゃないが、

奈緒なら家族を作り上げていく事に夢中になって、

本当の自分の意欲なんて隠してきた筈だ。

今日は奈緒の気晴らしにはいい機会なのさ。

瀬那は酔いに身を任せる奈緒を見ながら

自分の妻の恵美を思い浮べた。

「―あいつも同じか。」
< 118 / 242 >

この作品をシェア

pagetop