ソウルメイト~男女の親友ってあるの?
瀬那は、ここのバーの隅で、

愛想のないマスターの顔を見ながらターキーのソーダーを飲むのが好きだった。

マスターに泣きながら奈緒についての悩みを相談したときもあった。

それでもマスターはほとんど何も答えずグラスを磨いていた。

そしてそんなときマスターは何も言わずに、

決まってドアにかかっている札をクローズにしてくれた。

中々、渋い男だった。

今日も今、勇気にウイスキーを出した足でそのままドアに向かって行った。

瀬那の雰囲気と勇気の雰囲気で察したのであろう。

<マスター、ありがとう>

瀬那と勇気は心の中で呟いた。

マスターがドアの札を変えようと、ドアノブを持ったまさにその時―
愛華が飛び込んできた。

「うおっ」

さすがにこのタイミングではニヒルなマスターも声が出た…

瀬那と勇気は気付かないふりをしたが、目が合うと堪え切れず笑ってしまい

…マスターに睨まれた。

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