ソウルメイト～男女の親友ってあるの？

＜a world of fantasy・無限の世界＞


「ねえ、あんた奥さんのこと愛してますか？」

突然、仕事帰りの電車の中で勇気に声をかけられたのは、奈緒の旦那の桜井だった。

電車は疲れきったサラリーマンを乗せ無表情に走っていた。色気のない電車だった。

「えっ？ああ、君は確か愛華君の彼氏だね？」

「―そんなんいいから答えなよ」

勇気が無愛想に言う―

「あんた奈緒じゃないと駄目なのか？必ず幸せにするって誓えるか？」

「―僕は出張が多いのでね。彼女には淋しい思いをさせてるかもしれないよ。悪い虫がつかないといいがな。キミ、奈緒のいい飲み仲間で居てやってくれよな。」

そう言って勇気の語り掛けには興味ない、と言わんばかりに桜井はまた文庫本に目を移した。

失礼な勇気のいきなりの質問にも動じない、冷めた雰囲気があった。

勇気は

『悪い虫…』

そのコトバに瀬那を思い浮べたがすぐに打ち消した。


「ねえ旦那さん。うちらは長い付き合いだから無駄な心配はいらないよ。
うちらの仲間に悪い奴はいないから。
今アンタが奈緒を幸せにするって誓うなら俺も、もう聞かないよ。」

文庫本を読む

桜井の気配が変わる。